8020運動とは?



・80歳で20本の歯を保とうというのが8020運動です。でも歯を残すことだけが大事なのではありません、歯を残すことによって食べて飲み込む能力を維持し、生涯自分の口から食事をすることが大事なのです。そして、口の機能は咀嚼だけではありません。会話でコミュニケーションを行うことも大事で、ボケの防止になります。

・なぜ20本残すかご存知ですか?だいたい20本残っていると左右で噛み合わせができ、ほとんどのものがおいしく食べられるからなのです。20本無くても義歯やブリッジ、インプラントなどによって噛み合わせがとれているとそれに準ずる効果があると言われています。大事なのは噛み合わせで、よく噛めることなのです。

・上のグラフは咀嚼能力が悪くなると死亡リスクが増えることを示しています。最近の研究で、歯の疾患、特に歯周病は糖尿病や心疾患などに悪影響を与えていることがわかってきています。

ここまで達成している



・8020運動が開始した平成元年当時8020の達成率は7%程度でした。それが平成28年度の歯科疾患実態調査(厚労省)では51.2%になっていました。

・現在は2人に1人は8020を達成する歯科医師会が目指す「8020健康長寿社会」を達成しています。8020達成した人はそうでない人に比べて医療費が少ないことがわかっています。

・8020達成者を調べると決して咀嚼能力が高いだけではありませんでした。病気にかかったり入院する人が少なく、積極的に社会と関わりを持って生活する人が多かったのです。健康で長生き、生活の質も高く保っていけるこれが8020運動なのです。

8020と歯科矯正



・8020を達成した人のかみ合わせを調査した研究(東京歯科大学矯正学講座の研究が有名)によると、8020達成者には叢生(歯の凸凹)や反対咬合(下の前歯が上のそれより前に出ている)、開咬(前歯がかみ合っていない)の人は見られませんでした。

・8020達成者に多いのは前歯も奥歯もしっかりかみ合い、左右のかみ合わせのバランスも良かったのです。そしてレントゲンで骨格をみても顧客のずれが少ない、いわゆる良い骨格でした。

・不正咬合の状態ではむし歯や歯周病になりやすいだけでなく、特定の歯に力がかかって弱くなってしまったり、左右でバランスよく噛めないため特に中年期以降に歯を失ってしまいます。


 私は静岡県歯科医師会8020推進部の部員として、平成13年より「8020推進員」の研修と活動に関わってきました。おかげさまで現在沼津市では8020推進員が学童保育や幼稚園・保育園、各種行事で活動するなど活発になっております。
 日本は戦後医療制度等がうまく働き、長生きができる国になってきました。しかし一方子どもの出生数が少なくいわゆる少子高齢化が進み沼津市で65歳以上の人口が現在31.1%(令和元年度)を超え「超高齢社会」に突入しています。

 しかし男女の平均寿命は、男性81.25歳、女性87.32歳(2018年)ですが、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳(厚労省平成28年第11回健康日本21(第2次)推進委員会資料)であり、約10年は要介護・要支援の状態になっているということです。今後介護需要が伸びても施設を作ったり、それを支える介護職員の育成や待遇改善を行うのは財政的、人材的に難しくなってきています。

 そこで日本歯科医師会は、「まず多くの歯を残し、しっかりと口から食べることを通して健康寿命を延ばすこと。歯を失った方に対しては、入れ歯などでしっかり噛めるようにすること」を目指すため8020運動を推進しています。そして要介護・要支援の状態になっても「歯科医療を通して、自分の口から食べられる人生を送っていただくことでQOLを支えること」を目指しています。
 これは大久保元日本歯科医師会会長がいう、歯科医療は“食べる”、“話す”など、『日々の生きる力を支える生活の医療』で、その流れの中に8020運動があるのです。

 8020活動もしくは8020推進員にご興味のある方は、私の診療所や沼津市歯科医師会、静岡県歯科医師会にお問い合わせください。沼津市では8020推進員の講習会を1年に1回程度行っております、「広報ぬまづ」でも募集しておりますのでご覧下さい。